2024年残すところ、数時間となりました。ITクラブは、2024年は新しいテクノロジーを積極的に取り入れました。生成AIとGoogle workspace を中心に、「日々の生活や仕事を、ITテクノロジーを道具として使って、生産力を上げる。」ことをテーマに活動していました。 一方で、北九州市では、美術館や門司駅遺構を巡って、様々な議論が繰り広げられました。ITクラブとして、どちらを支持するという意見は、あえて述べませんが、古い言葉で「温故知新」と言われるように、「過去を学び、新しい知識を得ること。」は、とても大切なので、私の経験をご紹介させていただきます。 出展:東広島市公式チャンネルより 以前、仕事で大変お世話になりました、広島杜氏組合組合長の石川達也氏の講演です。石川氏とは、仕事の取引だったり、成分分析、技術普及について、大変お世話になりました。当時、竹鶴酒造の杜氏をされていた頃、石川氏の思想、ご経験を色々と教えていただいたなかで、大変印象に受けたのは、伝統を重んじた中で、新しいことに挑戦することです。それは、決して新しいものに作り替えるのではなく、伝統を尊重し、その息吹を盛り込みながら、酒造りをすることです。 本講演では、広島杜氏組合組合長の石川達也氏が、伝統的な酒造りの本質と、広島の酒造りの歴史における三浦千三郎氏の功績について語っています。 石川氏はまず、 伝統とは単に古いものを指すのではなく、 「普遍性を持つもの」 だと定義します 。つまり、 いつの時代にも通用する価値を持つものだけが伝統と呼べるという考え方 です。酒造りの世界では、江戸時代末期までに伝統的な酒造りがほぼ完成し、その技術は普遍的な価値を持つと石川氏は考えています。 その上で、石川氏は明治時代以降の酒造りの変化について言及します。明治維新による酒株制度の廃止は、新規参入者を増やし、酒造りの技術レベルを低下させました。また、西洋化を目指す社会風潮の中で、伝統的な酒造りは軽視される傾向にありました。 このような状況の中で、三浦千三郎氏は広島の酒造りを大きく発展させました。三浦氏は、徹底した基本の大切さを説き、灘・伏見とは異なる、淡色で甘みのある酒造りを確立しました。これは、当時の全国的な品評会で高い評価を受け、広島の酒の地位向上に大きく貢献しました。 しかし、三浦氏の成功は、皮肉にも伝統的な酒...